フィナステリドとデュタステリドは、薄毛治療に使われる飲み薬で「守りの薬」として抜け毛を予防する効果に期待できます。
両方とも抜け毛の原因物質「DHT」を抑える働きがありますが、効き目の強さや体内に残る時間、副作用のリスクに違いがあります。
この記事では、6つの比較ポイントから両薬の違いをわかりやすく解説し、あなたに合った薬の選び方をご紹介します。
フィナステリドとデュタステリドの違いと基礎知識
薄毛治療を始めようと考えたとき、まず目にするのが「フィナステリド」と「デュタステリド」という2つの飲み薬ではないでしょうか。どちらも男性型脱毛症(AGA)の治療に用いられる内服薬で、抜け毛を抑えて髪の成長をサポートする効果があります。
名前が似ているため混同しやすいですが、実は開発された時期や効き目の仕組みに違いがあります。ここでは、まず両薬の基本的な特徴を押さえておきましょう。
フィナステリド(プロペシア)の主成分と効果
フィナステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として開発された成分です。その後、薄毛への効果が認められ、1997年にアメリカでAGA治療薬として承認されました。日本では2005年に「プロペシア」という製品名で販売が開始され、現在ではジェネリック医薬品(フィナステリド)も多く流通しています。
| 主成分 | フィナステリド |
|---|---|
| 効果 | ・DHTの生成を抑える ・薄毛の進行を遅らせる ・髪の成長を促す |
フィナステリドは20年以上の使用実績があり、安全性に関するデータが豊富に蓄積されている点が大きな特徴です。AGA治療の「ファーストチョイス」として、多くのクリニックで第一選択薬となっています。
デュタステリド(ザガーロ)の主成分と効果
デュタステリドも、もともとは前立腺肥大症の治療薬として開発された成分です。日本では2009年に前立腺肥大症の薬「アボルブ」として承認され、その後2015年にAGA治療薬「ザガーロ」として承認されました。
フィナステリドよりも後に登場した薬ですが、「古い=悪い、新しい=良い」というわけではありません。それぞれに特徴があり、どちらが適しているかは一人ひとりの症状や体質によって異なります。
| 主成分 | デュタステリド |
|---|---|
| 効果 | ・DHTの生成を抑える ・薄毛の進行を遅らせる ・髪の成長を促す |
デュタステリドは、フィナステリドよりも強力にDHTを抑える働きがあるとされ、より高い予防効果が期待されています。
ただし、効果が強い分、副作用のリスクについても理解しておく必要があります。
フィナステリドとデュタステリド6つの違いを比較
フィナステリドとデュタステリドは似た働きを持つ薬ですが、細かく見ていくと重要な違いがあります。ここでは6つのポイントに分けて、両薬の違いを詳しく解説します。
| 項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 開発時期(商品名) | 1992年(プロスカー) | 2001年(アボルブ/ザガーロ) |
| 開発経緯 | 前立腺肥大症薬からAGA治療薬へ転用 | 両疾患への応用を視野に開発 |
| 作用の仕組み | II型のみ5α-還元酵素を阻害 | I型とII型5α-還元酵素を阻害 |
| 効果の強さ | デュタステリドより穏やか | フィナステリドより強力な効果が期待 |
| 半減期 | 短い(約6〜8時間) | 長い(約3〜5週間) |
| 主な副作用 | ・性機能障害 ・肝機能障害など | ・性機能障害 ・乳房の障害(腫脹、圧痛) ・肝機能障害など |
| 価格(1ヶ月あたり) | 約3,000円〜 | 約5,000円〜 |
開発経緯・承認時期が異なる
フィナステリドは1992年にアメリカで前立腺肥大症の治療薬「プロスカー」として誕生しました。その後、AGA治療への効果が認められ、1997年に「プロペシア」としてAGA治療薬の承認を取得。日本では2005年に承認されています。
一方、デュタステリドは2001年に登場し、日本では2009年に前立腺肥大症の薬「アボルブ」として、2015年にAGA治療薬「ザガーロ」として承認されました。
デュタステリドは後発の薬ですが、「改良版」というよりも「異なる特性を持つ選択肢」と考えるのが適切です。患者さんの症状や体質によって、どちらが適しているかは異なります。
作用する酵素が異なる
両薬の最も大きな違いは作用する酵素の種類です。
| I型5αリダクターゼ | ほぼ全身の毛乳頭細胞に存在 頭皮では側頭部や後頭部に多い |
|---|---|
| II型5αリダクターゼ | 前頭部や頭頂部に多く分布 |
フィナステリドは、II型の5αリダクターゼのみを阻害します。もともとAGAはII型が主な原因とされていたため、II型だけをブロックすれば十分と考えられていました。
デュタステリドは、I型とII型の両方を阻害します。研究が進む中で、I型も薄毛に関係していることがわかり、両方を抑えることでより高い効果が期待できるようになりました。
効果の強さが異なる
また、II型5αリダクターゼを阻害する力もフィナステリドの約3倍とされています。
臨床試験のデータを見ると、24週間の投与後の比較で以下のような結果が報告されています。
- 血清DHT値の減少:フィナステリドで約73%、デュタステリドで約92%
- 毛髪数の増加:フィナステリドよりデュタステリドの方が有意に多い
、数字の上ではデュタステリドの方が効果が高いことが示されています。ただし、効果の感じ方には個人差があり、フィナステリドで十分な効果を実感できる方も多くいます。
体内に留まる期間が大きく異なる
半減期が長いほど、薬が体内に長く留まって効果を発揮します。
| 半減期 | 時間(期間) |
|---|---|
| フィナステリド | 約6〜8時間 |
| デュタステリド | 約3〜5週間 |
この違いは非常に大きく、デュタステリドはフィナステリドの数十倍も長く体内に留まります。そのため、デュタステリドは飲み忘れの影響を受けにくいというメリットがあります。
ただし、半減期が長いと副作用が出た場合にも体内から成分が抜けるまで時間がかかることを意味します。
副作用リスクの種類に差がある
両薬とも男性ホルモンに作用するため、副作用として性機能への影響が報告されています。
| 主な副作用 | |
|---|---|
| フィナステリド | 性欲減退 勃起機能の低下 精液量の減少 肝機能障害 |
| デュタステリド | 性欲減退 勃起機能の低下 射精障害 乳房の腫脹・圧痛 肝機能障害 |
デュタステリドはDHTをほぼ完全に抑えるため、フィナステリドよりも性機能への影響が出やすい傾向があります。また、デュタステリドでは乳房への影響も報告されています。
ただし、副作用の発現率は全体的に数%程度と低く、多くの方は問題なく服用できています。万が一副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談することが大切です。
費用はデュタステリドがやや高額
クリニックや処方される薬の種類によって費用は異なりますが、一般的なジェネリック医薬品の1ヶ月あたりの費用相場は以下のとおりです。
| 費用相場(月額) | |
|---|---|
| フィナステリド | 約3,000円〜6,000円 |
| デュタステリド | 約5,000円〜9,000円 |
AGA治療は継続が前提となるため、費用面も薬を選ぶ際の重要な判断材料になります。長期的な治療計画を立てる際には、無理なく続けられる費用かどうかも考慮しましょう。
フィナステリドとデュタステリドどっち?選び方のポイント
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも有効な薄毛治療薬です。「どちらが良い」と一概に言えるものではなく、一人ひとりの状況に応じて選ぶことが大切です。
フィナステリドを選ぶべき人
以下のような方は、フィナステリドでのAGA治療から始めましょう。
- AGA治療が初めての方
- 副作用が心配な方
- 毎日の服用が苦にならない方
- 肝機能に懸念がある方
- すでに複数の薬を服用している方
フィナステリドは使用実績が長く、安全性に関するデータが豊富です。また、半減期が短いため、万が一副作用が出た場合も比較的早く体内から排出されます。
初めてAGA治療を行う方や、慎重に治療を進めたい方にとって、まず試してみる価値のある選択肢です。
デュタステリドを選ぶべき人
以下のような方に、デュタステリドでAGA治療を行うのが良いでしょう。
- より強い効果を求めている方
- フィナステリドで十分な効果が得られなかった方
- 飲み忘れを減らしたい方
- 長期治療での負担を軽減したい方
デュタステリドは、フィナステリドよりも強力にDHTを抑えるため、進行したAGAや、フィナステリドで効果が不十分だった方にとって有力な選択肢となります。
また、半減期が長いため、多少の飲み忘れがあっても効果が維持されやすいというメリットもあります。
フィナステリドからデュタステリドへの切り替えタイミングと注意点
フィナステリドを服用していて「最近効果を感じにくくなった」「もっと効果を高めたい」と感じている方は、デュタステリドへの切り替えを検討するタイミングかもしれません。
切り替えはフィナステリドの効果が頭打ちになったら
フィナステリドは多くの方に効果がある薬ですが、服用を続ける中で効果が頭打ちになることがあります。
特に以下のような場合は、デュタステリドへの切り替えが有効な選択肢となります。
- 6ヶ月以上服用しても効果が感じられない
- 一度は改善したが、再び薄毛が進行し始めた
- より高い発毛効果を求めている
韓国で行われた臨床試験では、フィナステリドを6ヶ月以上服用して効果が不十分だった31人がデュタステリドに切り替えたところ、約77%の方で改善が認められたという報告があります。
切り替え時に起こる初期脱毛と体調変化
薬を変更した際には、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こる可能性があります。これは、新しい薬によってヘアサイクルがリセットされる過程で、弱った髪が抜け落ちる現象です。
初期脱毛は「治療が失敗している」サインではなく、むしろ「薬が効き始めている」サインと捉えることができます。通常は数週間〜数ヶ月で落ち着きますが、不安な場合は必ず医師に相談しましょう。
また、薬が変わることで体調に変化が出ることもあります。気になる症状があれば、自己判断で服用を中止せず、まず医師に報告することが大切です。
切り替え時は段階的に調整する
デュタステリドはフィナステリドよりも効果が強い薬です。いきなり高用量から始めると、副作用のリスクが高まる可能性があります。医師の指示に従い、適切な用量から開始しましょう。
切り替え直後は体が新しい薬に慣れる期間が必要です。効果や副作用の様子を見ながら、必要に応じて用量を調整していきます。焦らず、医師と相談しながら進めることが重要です。
フィナステリドとデュタステリド効果が出る?治療期間の違い
AGA治療薬は、飲み始めてすぐに効果が現れるものではありません。効果を実感するまでには一定の期間が必要です。
効果を実感するまでの期間(3〜6ヶ月が目安)
| 薬 | 抜け毛の減少を実感する目安 | 発毛・改善を実感する目安 |
|---|---|---|
| フィナステリド | 3〜4ヶ月 | 6ヶ月〜1年 |
| デュタステリド | 約3ヶ月 | 4〜6ヶ月 |
一般的に、まず「抜け毛が減った」という変化を感じ、その後に「髪が増えてきた」という実感が得られるようになります。デュタステリドの方がやや早く効果を実感できる傾向がありますが、大きな差はありません。
効果の発現期間には個人差があるため、「3ヶ月経っても何も変わらない」と焦る必要はありません。少なくとも6ヶ月は継続して服用し、経過を観察することが推奨されています。
効果に個人差が出る理由
同じ薬を服用しても、効果の感じ方には個人差があります。これには以下のような要因が関係しています。
- 年齢:若いほど改善しやすい傾向がある
- 遺伝的要因:5αリダクターゼの活性には遺伝的な差がある
- AGAの進行度:初期段階の方が効果を実感しやすい
- 生活習慣:睡眠、ストレス、食事などが髪の健康に影響する
「同じ薬でも人によって結果が異なる」というのは医学的な事実です。自分に合った薬を見つけるには、医師と相談しながら治療を進めることが大切です。
フィナステリドとデュタステリドはミノキシジルと組み合わせでより効果に期待
フィナステリド+ミノキシジルの組み合わせ
フィナステリドで抜け毛を抑えながら、ミノキシジルで発毛を促進するという組み合わせは、多くのAGAクリニックで推奨されている治療法です。
フィナステリドがDHTの生成を抑えてヘアサイクルを正常化し、ミノキシジルが毛母細胞を活性化して髪の成長を促します。この2つの薬は作用の仕組みが異なるため、併用することで相乗効果が期待できます。
デュタステリド+ミノキシジルの組み合わせ
デュタステリドとミノキシジルの組み合わせも同様に、抜け毛抑制と発毛促進の相乗効果が期待できます。
デュタステリドの方がフィナステリドよりも強力にDHTを抑えるため、「より高い効果を期待できる」というメリットがあります。一方で、作用が強い分、副作用のリスクも増加する可能性があります。
また、併用療法は複数の薬を使用するため、費用も高くなります。自由診療となるAGA治療では、治療費が高額になることも珍しくありません。治療を始める前に、費用面も含めてしっかりと検討しましょう。
フィナステリドとデュタステリドの同時使用はNG
「効果を高めたいから」とフィナステリドとデュタステリドを同時に服用するのは、医学的に推奨されていません。
両薬は同じ5α還元酵素を阻害するメカニズムで作用するため、同時に使用しても効果が倍増するわけではありません。むしろ、副作用のリスクだけが高まる恐れがあります。
より高い効果を求める場合は、医師と相談の上、どちらか一方の薬を選択し、必要に応じてミノキシジルなど他の薬との併用を検討しましょう。

