フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)治療薬として日本皮膚科学会のガイドラインで最高ランクの推奨度を得ている内服薬です。
本記事では、フィナステリドを服用する前に知っておきたい副作用の種類や発現頻度、期待できる効果、安全に治療を続けるためのポイントを詳しく解説します。
副作用への不安を解消し、正しい知識を持ってAGA治療に臨むための情報をお届けします。
フィナステリド服用前に副作用を確認

フィナステリドは比較的安全性の高いAGA治療薬ですが、化学的に製造されたすべての医薬品と同様に、副作用のリスクが存在します。
服用を開始する前に、どのような副作用があるのかを理解しておくことが大切です。
性機能に関する副作用
フィナステリドの副作用として最も報告されているのが、性機能に関するものです。具体的には、性欲減退(リビドー減退)、勃起機能不全(ED)、精液量の減少などが挙げられます。
国内での臨床試験データによると、副作用の発現頻度は以下の通りです。
- 性欲減退:1〜5%未満
- 勃起機能不全:1%未満
- 精液量減少:1%未満
全体的に見ると副作用の発症率は2%未満と低く、リスクは比較的小さい治療薬といえます。
ただし、症状が現れた場合は速やかに医師に相談することが重要です。なお、性機能に関する副作用は「副作用が出るかもしれない」という不安自体が症状につながる場合もあるとされています。
治療を始める前に医師から十分な説明を受け、不安を解消しておくことも副作用を減らすポイントです。
肝臓への影響で気をつけること
フィナステリドは肝臓で代謝される薬のため、肝機能への負担が心配されることがあります。臨床試験では、肝機能障害の副作用報告があるものの、その頻度は非常に稀とされています。
肝機能への影響を確認するためには、以下の数値をチェックすることが大切です。
- AST(GOT):肝細胞の障害を示す指標
- ALT(GPT):肝細胞の障害を示す指標
- γ-GTP:肝臓や胆道系の障害を示す指標
もともと肝機能障害がある方は、フィナステリドの服用について必ず事前に医師に相談してください。また、服用中も定期的な血液検査で肝機能の状態を確認することが推奨されています。
気分が落ち込むこともあるメンタルへの影響
フィナステリド服用中に、気分の落ち込みや抑うつ症状が報告されることがあります。これは男性ホルモンの変化によるものではないかと考えられていますが、科学的にはまだ結論が出ていない点も多いのが現状です。
もし服用中に以下のような症状を感じた場合は、医師に相談することをおすすめします。
- 気分が落ち込みやすくなった
- やる気が出にくくなった
- 日常的に倦怠感を感じる
特にうつ病やうつ状態の既往歴がある方は、服用前に医師にその旨を伝えておくことが大切です。
飲み始めは抜け毛が増える「初期脱毛」が生じる
フィナステリドの服用を開始すると、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」と呼ばれる現象が起こることがあります。これは薬が効いている証拠であり、治療が良い方向に向かっているサインとも言えます。
初期脱毛が起こるメカニズムは以下の通りです。
- フィナステリドによってDHT(ジヒドロテストステロン)の生成が抑制される
- 乱れていたヘアサイクルが正常化し始める
- 休止期にあった弱い髪の毛が、新しい健康な髪に押し出される形で抜け落ちる
初期脱毛のタイミングと期間の目安は次の通りです。
- 発症時期:服用開始から2週間〜1ヶ月頃
- 継続期間:一般的に1〜3ヶ月程度で落ち着く
- 発生頻度:約20〜30%程度(約4人に3人は初期脱毛を感じていない)
初期脱毛が起きても自己判断で服用を中止せず、医師に相談しながら治療を継続することが重要です。中断してしまうと再び薄毛が進行するだけでなく、再開時に再び初期脱毛が起こる可能性があります。
フィナステリドで期待できる効果

フィナステリドは、AGAの進行を抑えるために開発された治療薬です。日本皮膚科学会のガイドラインでは「行うよう強く勧める」という最高の推奨度で評価されています。
- 抜け毛を減らす根本的な作用
- 細く弱った髪が元気を取り戻しやすくなる
- 薄毛の進行速度をゆるやかにする効果が期待
- ミノキシジルとの併用で発毛実感が高まりやすい
抜け毛を減らす根本的な作用
フィナステリドの主な作用は、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することです。
AGAが発症するメカニズムを簡単に説明すると、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きによってDHTに変換され、このDHTが毛乳頭細胞の機能を低下させて髪の成長を妨げます。
細く弱った髪が元気を取り戻しやすくなる
DHTによってヘアサイクルが乱れると、髪の毛は十分に成長しないまま抜け落ちてしまいます。成長期が短縮されることで、細く弱い髪が増え、頭皮が透けて見えるようになります。
フィナステリドを服用することでDHTの影響が抑えられると、毛母細胞の働きが改善し、ヘアサイクルが正常化していきます。その結果、髪の毛が本来の成長期間を全うできるようになり、太くてコシのある髪が育ちやすくなります。
薄毛の進行速度をゆるやかにする効果が期待
AGAは進行性の脱毛症であり、放置すれば徐々に薄毛が広がっていきます。
フィナステリドは「進行を抑える薬」として位置づけられており、薄毛の進行スピードをゆるやかにする効果が期待できます。
日本皮膚科学会の調査によると、フィナステリド(1mg/日)を服用した日本人男性において、以下のような改善効果が報告されています。
- 1年間:軽度改善以上の効果 58%
- 2年間:軽度改善以上の効果 68%
- 3年間:軽度改善以上の効果 78%
データからわかるように、継続年数が長いほど効果を実感できる方が増えています。AGA治療は根気よく続けることが成功の鍵です。
ミノキシジルとの併用で発毛実感が高まりやすい
フィナステリドとミノキシジルは、それぞれ異なるメカニズムでAGAに働きかけます。そのため、併用することで相乗効果が期待できます。
| 治療薬 | 主な役割 | 作用 |
|---|---|---|
| フィナステリド | 守り(抜け毛予防) | DHTの生成を抑制してヘアサイクルを正常化 |
| ミノキシジル | 攻め(発毛促進) | 血管拡張作用で頭皮の血流を改善し毛母細胞を活性化 |
日本皮膚科学会もこの併用療法を推奨しており、フィナステリドで薄毛の進行を抑えながら、ミノキシジルで積極的に発毛を促すという「守り」と「攻め」の両立が可能になります。
フィナステリド服用時の注意点と安全に使う方法

フィナステリドを安全に服用し、効果を引き出すためには、いくつかの注意点を守ることが重要です。
他の薬と飲み合わせに注意
フィナステリドには基本的に併用禁忌とされる薬はありませんが、肝臓で代謝される薬やサプリメントと併用する場合は注意が必要です。持病があり常用している薬がある方は、治療を始める前に必ず医師に伝えておきましょう。
また、AGA治療でよく併用されるミノキシジルについても、ミノキシジルタブレット(内服薬)は一部の薬との飲み合わせに注意が必要です。特に血圧に影響を与える薬との併用には慎重になる必要があります。
女性や子どもの誤飲・接触に気をつける
フィナステリドは成人男性のみを対象とした治療薬です。女性と未成年への投与は禁止されています。
特に注意が必要なのは、妊娠中・授乳中の女性です。フィナステリドは、胎児の男児の生殖器発育に悪影響を与える可能性があります。
皮膚から吸収してしまう恐れもあるため、妊娠中や妊娠の可能性がある女性は、フィナステリド錠に触れることも避ける必要があります。
家庭内での保管には以下の点に注意してください。
- 子どもの手の届かない場所に保管する
- 妊娠中・授乳中のパートナーが触れないよう管理する
- 他人に薬を譲渡しない
前立腺がん検査(PSA値)へ影響する可能性
フィナステリドは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)値を低下させる作用があります。臨床試験では、フィナステリド服用者のPSA値が通常の約半分(40〜50%)に低下したというデータがあります。
これにより、前立腺がんがあってもPSA値が正常範囲に見えてしまい、発見が遅れる危険性があります。前立腺がん検診を受ける際は、必ず医師にフィナステリドの服用を伝えてください。
医師はフィナステリドの影響を考慮して、測定されたPSA値を2倍にして評価するなどの対応を行います。
自己判断で急にやめないようにする
フィナステリドはAGAを根本的に治療する薬ではなく、服用を継続することで効果を維持する薬です。自己判断で急に服用を中止すると、再びAGAが進行するリスクがあります。
実際の臨床データでも、服用を中止すると6ヶ月程度で元の状態に戻るとされています。治療の継続や中止については、必ず医師と相談して決めるようにしましょう。
フィナステリドが合いやすい人の特徴

フィナステリドは多くの方に効果が期待できる治療薬ですが、特に以下のような方に向いています。
AGAの初期〜中期の段階で進行をゆるやかにしたい人
フィナステリドは「進行を抑える薬」であるため、薄毛がまだ広がっていない初期〜中期段階の方に特に効果的です。AGAは進行性の脱毛症ですので、早めに対処することで将来的な薄毛の進行を抑えられます。
「最近抜け毛が増えてきた」「生え際や頭頂部が少し気になり始めた」という方は、進行が深刻化する前にフィナステリドでの治療を検討する価値があります。
副作用をできるだけ抑えながら治療をしたい人
フィナステリドは、より強力な効果を持つデュタステリドと比較すると、作用範囲が狭い分、副作用リスクも比較的穏やかな傾向にあるとされています。
| 比較項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 5αリダクターゼ阻害 | Ⅱ型のみ | Ⅰ型・Ⅱ型両方 |
| 効果の強さ | 標準 | 約1.6倍 |
| 副作用リスク | 比較的穏やか | やや高い傾向 |
| 半減期 | 6〜8時間 | 3〜5週間 |
副作用への不安が大きい方は、まずフィナステリドから治療を始め、効果が不十分であればデュタステリドへの変更を検討するという方法もあります。
コスパを重視して無理なく続けたい人
フィナステリドは2015年に国内での特許期間が終了し、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が豊富に販売されています。先発薬のプロペシアと比較すると、ジェネリックは安価で手に入れることができます。
AGA治療は長期間継続することが前提となるため、費用面での負担を軽くできるジェネリック医薬品の存在は大きなメリットです。月々数千円から治療を続けられるため、無理なく長期的に取り組みやすいでしょう。
前頭部や頭頂部の薄毛が気になっている人
フィナステリドは、5αリダクターゼのⅡ型を阻害する薬です。Ⅱ型は主に前頭部や頭頂部に多く分布しているため、これらの部位の薄毛に対して効果を発揮しやすい傾向があります。
フィナステリドが合わない可能性がある人

フィナステリドは多くの方に効果的な治療薬ですが、すべての人に適しているわけではありません。以下のような方は別の治療法を検討したほうが良い場合があります。
服用できない条件に当てはまる可能性がある人
医学的にフィナステリドの服用を避けるべきケースがあります。
- 女性:効果がないだけでなく、妊娠中は胎児への影響のリスクがある
- 未成年:安全性が確立されていない
- 妊娠を希望するカップル:精液量への影響の可能性がある
- 肝機能に不安がある人:医師への相談が必要
- 過去にフィナステリドで過敏症を起こした人
これらに該当する方は、必ず医師に相談して適切な治療法を検討してください。
より強い作用で広くアプローチしたい人
フィナステリドは5αリダクターゼのⅡ型のみを阻害しますが、より広範囲にアプローチしたい場合は、Ⅰ型とⅡ型の両方を阻害するデュタステリドが選択肢となります。
デュタステリドはフィナステリドの約1.6倍の発毛効果があるとされており、フィナステリドで効果が不十分だった方がデュタステリドに変更して改善を実感するケースも多く報告されています。
短期間で大きな変化を求めている人
フィナステリドは「進行を抑える薬」であり、劇的な発毛効果を期待する薬ではありません。効果を実感するまでに一般的に3〜6ヶ月、場合によっては1年程度かかることもあります。
「すぐに髪を増やしたい」「短期間で見た目を大きく変えたい」という方には、フィナステリド単独での治療はミスマッチとなる可能性があります。そのような場合は、ミノキシジルとの併用や自毛植毛など、より積極的な治療法を検討することをおすすめします。
フィナステリドの副作用・効果に関する疑問まとめ

- フィナステリドは保険適用ですか?
-
AGA治療に用いられるフィナステリド錠は保険適用外(自由診療)です。そのため、治療費は全額自己負担となります。
ただし、ジェネリック医薬品の登場により、以前と比較して費用負担は軽減されています。クリニックによって価格は異なりますが、月額数千円程度から治療を受けられるところも増えています。
- お酒を飲んでも大丈夫ですか?
-
基本的には適量の飲酒であれば大きな問題はありません。ただし、フィナステリドは肝臓で代謝される薬であるため、過度な飲酒は肝臓に負担をかけることになります。
お酒を飲む場合は適量を守り、肝臓に負担をかけすぎないよう心がけてください。特に肝機能に不安がある方は、飲酒について医師に相談することをおすすめします。

