歯槽膿漏は、歯周病と呼ばれています。歯槽膿漏になっている方は多いですが、自覚症状があまりなく自分が歯槽膿漏だと気づいている人は少ないのが事実です。
虫歯の治療や歯のクリーニングなどで歯医者に来院して、はじめて自分が歯槽膿漏だと知った人も多いのではないでしょうか。今回はそんな歯槽膿漏の原因や症状・治療法について症状や治療方法をご紹介していきます。もし当てはまる場合は、自覚症状がなかったとしても早めの池田歯科の検診を受けることをおすすめします。
歯槽膿漏は、簡単に言ってしまえば歯がグラグラとしてきて、最終的に歯が抜けてしまう病気です。家でいうなら屋根や外壁には何も不良がないのにもかかわらず、土台や基礎工事に何らかの原因があり家が崩れてしまう状態です。想像してみるとどうでしょうか?すごくもったいないと思いませんか?何千万という家を建てたり購入しても、土台や基礎が崩れたばかりに何の問題もない壁や屋根が壊れてしまうのです。これを口の中に置き換えてみましょう。歯は虫歯もなく健康そのものなのに、歯茎がダメになってしまい歯が抜けてしまう。これが歯槽膿漏です。歯槽膿漏は健康な歯をも使えなくさせてしまう恐ろしい病気なのです。
歯槽膿漏の症状で顕著なのは、口臭・歯がぐらつく・歯茎の出血です。
1) 口臭
歯周病原因菌は硫化水素やメチルメルカプタンという揮発性物質を産生します。また、インドールやスカトールという代謝産物も産生するため、これらが口臭の原因としてあげられます。
2) 歯がぐらつく
歯周病原因菌は内毒素という毒素を産生します。この内毒素には顎の骨を溶かす効果があります。顎の骨が溶けることで歯が支えられなくなりグラグラと揺れてしまいます。
3) 歯茎の出血
歯茎が炎症を起こしていて、少しの刺激でも出血がしやすくなっています。歯茎からの出血や中には膿が出てくることもあるので、そのような症状が出てきたら歯槽膿漏を疑いましょう。
歯槽膿漏はそのまま放置しておいても治りません。できるだけ早期に歯医者さんへ行き治療してもらう必要があります。治療方法については以下のことがあげられます。
1) 歯のクリーニング
歯のクリーニングとは、歯に付着している汚れを除去することを言います。例えば、着色汚れや歯石は歯に付着すると歯の表面をザラザラにします。通常であれば歯の表面は、つるつるしています。ザラザラすると表面積が増えるので、プラークの付着率が上昇してしまい歯槽膿漏を悪化させます。
一言で歯石と言っても、実は歯石には2種類あることを知っていますか?歯茎の上にある歯石と、歯茎の下にある歯石で、縁上歯石と縁下歯石に分けることができます。縁上歯石は比較除去しやすいですが、縁下歯石は除去しにくいです。歯石を定期的に除去することで、歯茎を清潔に保つことができるので、歯槽膿漏を治療できます。
歯のクリーニングをするときは超音波を使用するので、心臓ペースメーカーを使用している患者さんには使用できません。
2) 歯磨き指導
毎日歯医者さんへ通ってもらうのには限界があるので、正しい歯磨きの仕方を覚えることも歯槽膿漏の治療の一つです。自分で毎日しっかりと歯を磨ければ歯槽膿漏の治癒率が劇的に向上します。歯磨きの仕方は個性が出て、一筋縄に上達するとは言えません。しかし、長時間かかっても歯磨き指導を受けることによって、正しい歯磨きを習得することができます。時間はかかるかもしれませんが、しっかりとした歯磨きを行うようにしましょう。
3) 歯周外科治療
ここまで紹介してきた歯のクリーニングや歯磨き指導を受けても、歯槽膿漏の進行が止まるまでしかいきません。ん?と思った人もいるのではないでしょうか。歯槽膿漏で歯茎が下がったところは少し歯茎が締まり、グラついていた歯の揺れは減少しますが、歯槽膿漏で溶けてしまった骨は元に戻りません。顎の骨を元に戻すには再生療法を行わなければいけません。骨を増やす処置や、骨を移植する処置が主流になります。他にも歯茎が下がった部分をカバーするために、歯茎を移植する手術もあります。
歯槽膿漏は最終的に歯が抜けてしまう病気です。もし、歯が抜けてしまった場合は歯を補う補綴物(ほてつぶつ)を製作しましょう。歯だけ欠損した場合はブリッジが良いですが、歯槽膿漏の場合は、周囲の歯もグラついている危険があります。ブリッジを製作してもぐらつくので、まずは歯槽膿漏の治療を行ってから、歯を補うことになります。
自宅に例えるとわかりやすいですが、土台がしっかりしていなければどんなに良い家を建ててもすぐにダメになってしまいますよね。歯も同様で土台がしっかりしていなければどんなに良い被せ物をしてもダメになってしまいます。長期的な歯・口の健康を目標にすれば歯槽膿漏の治療をする必要性に気付いていただけるのではないでしょうか。